甘え上手になりませんか

「ええ、あの、いいです、いいです」

他人の厚意を、つい断ってしまう。上手に甘えられない、というちょっともったいない方のお話です。

「こんな人に甘えたくない!」という変な意地やプライドもあるのでしょう。それに、甘い誘惑を仕掛けてきて何かを要求されるのではないか?という警戒感もありますね。そうした小さな「裏切り」を経験していると、甘えられない、甘えたくない、甘えようと思わない・・・となることがよくあると思います。

ただ、せっかく親しくなった関係なのに、それでも「上手に甘えられない」。親しくなればなるほど、自分の気持や希望が言えない、という状況になるのは、スーパーの試食コーナーを通り過ぎて生唾を飲むくらい、ちょっと残念すぎます。

「甘えたら、嫌われるのではないか」「わがままな人だと思われないか」そんな、自分に対する警戒心が邪魔をします。根底には「自分のことが好きじゃないから」という心理が働いているようです。それが、大切な人であればあるほど、上手に甘えられず、気持ちが通じ合わなくなるのは残念すぎます。

そして、上手に甘えられない人ほど、なにか別のことに依存していることもあるようです。甘えと依存は似て非なるものですが、似たようなものに感じて、後ろめたさが勝ってしまうことがあるようです。

「じゃあ、お言葉に甘えて・・・」

悪いことじゃないのに、その一言が言えない。ああ残念。

「甘えたら、拒絶されないかな」
「甘えたら、相手に迷惑がかかるんじゃないか」

甘えるのが上手ではない人は、相手の気持をよく考えてくれる人に多いようです。むしろ社交的で、繊細な芸術家肌で、物事の順番を守ったりしてくれます。けれども、そんな自分が好きではない・・・ あなたを評価してくれる人が、厚意を寄せてくれています。けれども、あなたは「自分にはもったいないのでは?」と、自分を拒否してしまいます。ああ、もったいない。

いま日本では「女性の社会進出」が叫ばれています。どうやら政府の言っていることは、政策上の上っ面・・・という感じがしますが、それはさておき、女性が活躍するシーンが増えていることは事実です。また、夫婦平等に子育てに関わることが求められている時代に、甘え下手のために、夫に不満を募らせる人も少なくありません。

夫が曲がりなりにも子育てに関わろうとしているのに、
「これは私じゃないとダメ」
「女の苦しみを男はわからない」
「オムツ替えまでさせるのは申し訳ない」・・・そう言って、丸抱えしてしまうと、やっぱり疲れてしまいますよね。

それでも、多くの人は「どうして私は上手に甘えられないんだろう」と悩みます。それが苦しくなければ良いのですが、たいていの人は、やはり苦しみの元になります。苦しみの元は、どこにあるのでしょうか。

多くの場合、家族関係の中にそのヒントがあります。

長女であったために、良い子を演じなければならなかった。妹や弟の手前、いろいろなことを我慢しなければならなかった、ということもあるでしょう。

「あなたは、おねいちゃんなんだから、しっかり。我慢しようね」なーんて言われたことはありませんでしたか? 子どもなのに遠慮しなければならなかった、自分のことは後回しにされていたとなると、上手に甘えることが身につかなかったと言うことかも知れません。

また、家の中の大人が仕事や家事に忙しく「親から愛された記憶がない」「大切にされている感じがしなかった」という事情も多いようです。

そして、家の中に異性が存在しなかった場合(特に、幼少期に父親との距離が遠かったり、様々な事情で頻繁に会うことができなかった場合)、男性にどう接してよいのか、どう甘えたら良いのか・・・という葛藤と混乱が生じやすいと言われています。それが、甘えさせ上手のパートナーの導きで、だんだんと回復できれば良いのですが、上述の通り「嫌われるのではないか」という不安があるため、一歩踏み出して甘えさせ上手になることが困難になると、もったいないのも度が過ぎてしまいます。

そうすると、職場や学校でも、誰かに頼って(信頼して)気持ちを休めることができなくなってしまいます。それが積み重なると「生きづらい」感覚が顕著になってきます。なにかに依存している時は気がつかない、または過度な依存の中で、そうした感覚に気がつくこともあります。

生きづらさから解放されるには、自分の性格を変えることが一番の近道ですが、そう簡単に行かないことは、たまさんも知っています。時間がかかります。けれども、自分を変えたいと思ったら、それは思い続けることでチャンスは何度も巡ってくるはずです。まずは、自分に甘えて、甘える自分を許してあげるというのはどうでしょうか。

「今日の仕事はちょっときつい。少し自分を休ませてあげよう」
「今月は頑張って働いたから、自分にご褒美を買ってあげよう」

そんなことから始めてみても良いと思います。

たっぷりの時間をかけて、のんびりとお風呂に入ることも、自分を大事にしていることになるでしょう。早めに歯医者に行って、痛いところをなくしてしまう。そんなことも「自分を大事にしている」ことになると思います。

そのようにして、少しずつ自分の状態を受け入れて行動することが、性格を変えて行く歩みになります。

誰かと一緒にゴハンを食べている時、「それ少しちょうだい。私も食べたい」、「これは食べる気分じゃない。代わりに食べて」という感じだと、言いやすいのではないでしょうか。そのようにして、少しずつ「お願い」と増やしてみると、甘えることの気持ちよさや、逆に、甘えられることの心地よさを、あらゆる人間関係の中でシェアして行くことができます。

「えー、それは嫌だよ!」

時には、そう言われてしまうかもしれません。でも、それに怯まなくて大丈夫です。相手にも断る自由があるように、あなたにも断る自由があります。甘え上手になるということは、嫌なことを背負わず、断り上手になることでもあります。

そのようにして、「これは好きだけど、これはキライ」と自分を表現し、ありのままの自分を見せることができるようになると、対人関係はより深まると考えられます。

甘えたり、甘えられたりを繰り返して、自己開示を繰り返すことで、親密な関係を深めて行くことができるようになります。上手に甘えましょ。ねっ!